リレー随想

2019/08/23
No.194 2019年9月号 2017年卒 関口咲季子
「河口湖の日々」

 わたしは今、山梨県の河口湖にある温泉旅館で仲居として働いています。夏生まれであるわたしは夏にバタバタと忙しくするのが性に合っているようで、怒涛の繁忙期を迎えていました。夏休みシーズンがやっとひと段落し、少し落ち着いてきた今日この頃です。

 様々な偶然が重なって今観光業に携わることになり、観光政策学科で勉強していた経験が期せずして活かされることとなりました。
在学中は自分が観光の仕事をするビジョンが全くありませんでしたが、人生に無駄なことはないのだと実感する毎日です。

 河口湖は外国人観光客が多く、中でも中国人のお客様が多くいらっしゃいます。和式の旅館なので、靴を脱いで部屋に上がる、館内では浴衣を着て過ごす、夜は床に布団を敷いて寝る、といった日本では当たり前のことも外国人にとっては新鮮なようで、
「ベッドがないけれどどこで寝るのか?」
「食事処では何を着て行ったらいいのか?」
と質問されることが多くあります。自分の常識は必ずしも他人の常識ではないのだと気づかされる機会になりました。

 働いているスタッフ側にもワーキングホリデーで訪日した台湾人の女の子が数名おり、日本語を教えたり、逆に中国語を教わったりとグローバルな日々を過ごしています。台湾では高校生のうちから第二外国語を選択する授業があり、日本語は人気があるそうです。そこで日本文化に興味を持ち、ワーホリの滞在先として日本を選択する台湾人も多くいるそうで、そうやって興味を持ってくれることにとても嬉しさを感じました。また、自分と同世代なのに何ヶ国語も話せる上に、他国の文化を理解して働くことができる彼女たちを本当に尊敬しています。

 河口湖には秋ごろまでいる予定です。台湾人の彼女たちに影響され、その後はわたしも短期ですが海外に語学留学をしようかと考えています。いくつになっても人生経験を積むこと、視野を広げることを大切に、毎日生き生きと過ごしたいと思います。

 残暑はまだまだ厳しいです。高経OB・OGの皆様も健康に気を付けて、ますますご活躍されることを、富士山の麓から祈っております。
(山梨県在住)

2019/07/02
No.193 2019年8月号 2016年卒 石川颯
「ご安全に」

このたび、193番目のランナーに選んでいただきました、2016年度卒の石川颯と申します。大学の時の友人であり前ランナーの一倉君からこのようなリレー形式の随想があることを知り、高崎経済大学のOBの一人としてこの随想に何か残せたらいいなと思っております。

まずは私の近況ですが、邑楽町にある製造業の会社に勤務しており、私は現場作業を担当しています。最初の頃は肉体作業に慣れず、体が悲鳴を上げ、あちこちが筋肉痛で寝ても疲れが取れず、何度も辞めたいと思いながらも3年以上が経ちました。今でも辛い作業に慣れないことや叱られることはありますが、温室育ちの自分としては心身がだいぶ鍛えられたのではないかと思います。(笑)

そのような中、とても良い言葉に巡り合うことができました。それをご紹介します。現場や工場で作業をしている方はご存じかもしれませんが「ご安全に」という言葉です。私の会社でも作業者だけではなく、事務の方や営業の方も「ご安全に」と積極的に挨拶しています。もはや「おはよう」や「こんにちは」等と同じくらいの挨拶といっても過言ではありません。

この「ご安全に」という言葉には危険な作業をする人に対して無事を願う意味と同時に「気を付けなければ」と自分の心を引き締めるという意味があるそうです。元々ドイツの鉱山作業で使われていた「ご無事で」という挨拶が日本で「ご安全に」と訳され、それが広まっていったのがきっかけとされています。     
私も現場で機械を操作するので危険な作業が伴いますが、この言葉によって安全に作業をする心構えを常に持ち、安全意識を高めることができたのではないかと思います。また、日常生活においてもこの言葉によって安全意識が高まったと思ったのが車の運転です。この言葉を聞く前は車をこすったり左右をよく確認せず進んだりといった不注意な運転が多々ありましたが、「ご安全に」との出会いにより安全運転をより意識するようになりました。

「ご安全に」は日常生活では使われることはあまりないと思いますし、現場や工場以外では馴染みがないと思います。「気を付けて」の方が圧倒的だと思います。ですが、私はこの言葉を皆さんにも使ってもらえたらいいなと思います。「気を付けて」よりも相手を思いやる気持ちが込められていると思いますし、より気を付けなければならないという気持ちも含んでいると思うからです。
車の運転時や歩行時といった日常生活の時に言わなくてもふと思ってみたり、現場や工場以外の仕事でも言ってみたり。それだけでも安全への意識が数倍変わると思います。大切な人や家族、職場の人の安全の為に魔法の一言「ご安全に」。

長文かつまとまりがない文章になってしまいましたが、何かの役に立てたら幸いです。ご覧いただきありがとうございました。次は同じサークルに所属していた関口咲季子さんにバトンタッチします。
(群馬県館林市在住)

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