リレー随想

2025/09/10
No.265 2025年9月号 2010年度卒 渡辺 義之
「とにかく楽しむ」

 手嶋光さんからバトンを受け取りました、2010年度 地域政策学部地域づくり学科卒の渡辺義之と申します。
現在は、自社サービスのシステム開発プロジェクトマネージャーとして働いています。バトンを渡してくださった手嶋さんとは、学生団体同士の交流で知り合い、学生時代は何度も酒を酌み交わした友人です。卒業から早14年、記憶も薄れつつありますが、当時のことを振り返ってみたいと思います。

【高崎の生活と、衝撃の夏】
 大学1年の夏、高崎で生活して衝撃を受けたのは、とにかく気温が高いことでした。北海道出身の私にとって、関東の気候は未知の領域だったのです。北海道には梅雨も台風もなく、当時は気温30度を超える日も滅多にありません。しかし、高崎の夏は19歳の私にとって、想像をはるかに超える暑さでした。貧乏学生だった私は、少しでも電気代を節約しようと、エアコンをつけずに床に茣蓙(ござ)を敷いて寝ていました。多少涼しく眠れましたが、朝起きると体がバッキバキだったのは、今となっては懐かしい思い出です。

【サークル活動と、二つの出会い】
 私の大学生活で記憶に色濃く残っているのは、「山野愛好会」と「文化サークル協議会本部議長団」での活動です。
 山野愛好会は、主に登山やキャンプを行うアウトドアサークルでした。日本最高峰の富士山にも登りましたが、燕岳や八ヶ岳から見た景色は、富士山よりも印象的でした。大自然の偉大さを肌で感じ、標高の高い山ならではの醍醐味を教えてもらったように思います。
 登山を通して身についたのは、長時間同じ作業を続けられる忍耐力と、早朝から活動できる精神力です。山野愛好会の合宿では、深夜・早朝集合は当たり前でした。若さをフル活用したようなハードなスケジュールでしたが、そのおかげか、この歳になっても早朝からの行動が苦になりません。旅行の際も朝5時出発で動けるのは、この経験で培われた「気合と根性」のおかげだと思っています。
 そして、サークル活動以上に記憶に残っているのは、日々の飲み会です。印象的なエピソードはあまり覚えていませんが、他愛もない話をベロベロに酔っ払いながら語り合った時間が、とても幸せでした。今振り返ると、「なぜあんなに飲んだのだろう」と思うばかりですが、飲み会での先輩や後輩との関わりがあったからこそ、人との接し方や立ち振る舞いを学べたのだと思います。

 次に、立候補して入った「文化サークル協議会本部議長団」についてです。当初、大学生活の思い出作りの一つとして、あまり目立たずに活動しようと考えていました。しかし、当初の目論見は見事に外れ、私は団体のトップである議長に就任することになりました。
 これは誤算でしたが、山野愛好会で培った行動力で他団体とも積極的に交流を重ね、多くの仲間と最高の思い出を作ることができました。思い出は、やはり酒の席でのものがほとんどです。
 この二つの団体での経験を通して私が学んだのは、忍耐力とコミュニケーションです。私は、自身が先導して周囲を引っ張っていくリーダーシップを発揮するタイプではありません。しかし、周りの意向を取り入れながら、皆で一緒に前に進んでいくことが楽しいと思えました。この経験が現在社会人としても仕事に取り組むうえでベースになっています。

【仲間と歩む、これからの道】
 社会人になって10年以上が経ちましたが、今回このようにバトンを受け取る機会をいただいたのも、大学生活で培った「とにかく楽しむ」という姿勢が、良い結果につながったからだと感じています。

 今回の寄稿を機に大学時代を振り返り、本当に多くの仲間に恵まれていたのだと改めて実感しました。この場所で得た経験と出会いは、私にとってかけがえのない一生の財産です。
(東京都在住)
2025/08/08
No.264 2025年8月号 2012年度卒 手嶋 光
「人と酒との素敵な出会いがあったから、今の私がある」

 バトンを渡していただいた郡司さん、そして松本さんは卒業した現在もたまに連絡を取り合う仲です。そんな出会いを与えてくれた高崎経済大学にはとても感謝しています。
はじめまして。経済学部 経済学科 2013年卒の手嶋と申します。高経は年の離れた兄の出身大学でもあり、兄弟共々お世話になりました。

 私は現在、和歌山県で日本酒・リキュール・クラフトビールを作る酒蔵に勤務しています。大学を卒業して12年程。あまり大学生活を振り返ることは少ないのですが、折角の機会をいただきましたので、大学時代の思い出を振り返ってみたいと思います。

 高校からの親友と一緒に受験・合格し高崎経済大学に入学した2009年4月。さまざまな部活・サークルが新歓を行うなか、私は兄が在学時代に所属していたと聞いていた「ゼミナール協議会」に親友と共に向かい、入会の説明も聞かず「入ります!」と決意を伝えました。今思えば、この時の決断が自身の人生を大きく左右したと思っています。
 当時のゼミナール協議会は学外で開催される弁論大会の運営や、大学の事務局と連携した就職支援、学術支援を行っていました。さまざまな人と関わりながら企画・運営を行うため「●●をするためには」「▲▲の取り組みを行うためには」といった議論を連日夜まで交わし、時には喧嘩のような言い合いをしながらも、より良い活動を行うために熱く語り合っていました。地域政策学部ゼミナール協議会の皆様ともその時に知り合い、苦楽を共にした仲です。同級生はもちろん、尊敬できる先輩・後輩に恵まれ、とても有意義な時間を過ごすことができました。

 2年生の後期からスタートしたゼミ活動も大きな思い出です。私の代では、はじめて「高崎経済大学のCSR報告書を作成する」ことを掲げ、ゼミの先生である水口先生と一緒に考え、悩みながら報告書作りを進めました。3年生の時にはゼミの1コマとは別に週5コマのサブゼミを設けるなど、かなり濃密なゼミ活動を実施。時間をかけていろんな議論を交わしながら、最終的には何とか完成させられたこと、そして完成した時の達成感は今でも覚えています。

 こうして大学生活を振り返ると、私は本当に周りの人に恵まれたと感じています。偶然なのか、それとも高崎経済大学の特色なのか、私の周りには行動力や信念と言った、ある種の「軸」のようなものをしっかりと持っていた人が多かった印象です。私自身はそのような軸は持っていなかったのですが、大学時代に出会った人々から得た経験や話し合った時間が、確実に今現在の私の「軸」となっていると実感しています。

 冒頭でお伝えした通り、私は現在酒造りに関わる仕事をしているのですが、いまの会社には酒業界全体の未来を明るく切り拓くために、前例の無い取り組みやチャレンジを積極的に行う社風があります。そんな弊社にも、大学生活同様に何かしらの「軸」を持った社員が多く、皆で一緒になって酒造りと真摯に向き合い、新たな事業を推進させるための取り組みを、悩み考えながら毎日を過ごしています。
 そして、奇しくも「酒」はゼミ協での会議後やゼミ活動後に浴びるほど飲んだ、大学生活を語る上で切っても切り話せない大切な存在でもあります。お酒があることで、食の場や人の場がとても幸せな空間になることを、学生時代に何度も経験しました。これら培った人生観や経験が、もしかしたらいまの仕事に惹き合わせてくれたのかもしれません。

 大学を卒業して12年程。同級生や先輩・後輩と直接会う機会はめっきり減りましたが、今度またどこかで、学生時代にこよなく愛飲した「赤城山」や「水芭蕉」でも飲みながら、リレー随想を投稿する機会をくれた郡司さんや松本さん、そして次にバトンを渡す方と一緒に大学時代の話でもしたいと思います。
 次のバトンは大学の先輩であり、ご卒業された後の方がお会いする機会が多かったのでは?と思う、とても優しく頼もしい方にお繋したいと思います。
(和歌山県在住)

- Topics Board -