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子育ては自分育て

                2009年卒 須田 有貴
  
 ゼミで苦楽を共にした関戸くんからバトンを託され、160回目のリレー随想を担当させていただく須田有貴と申します。

 2009年に地域政策学部を卒業し、仕事の都合で埼玉、新潟へ異動し…結婚、長男の誕生を機に地元群馬に戻ってきて4年半になりました。

 卒業後、間も無く子育てがスタートした私は、それまでの自分中心の生活とは全く異なる日々に戸惑い、着々とキャリアを重ねる友人たちと自分の状況を勝手に比較して焦ることも多くありました。

 《子育ては自分育て》ともいう通り、思い通りにいかないことの連続です。我が子といえど、別の人間。生まれたばかりの頃は睡眠のサイクルが定まらず、何をしても泣き止まない夜に途方に暮れたことも。
 歩き出す頃には自己主張をするようになり、親の行きたい方向とは正反対に所構わず突き進む。
 こちらが急いでいる時なんて、尚更言うことを聞いてくれないものです。
喋り出す頃には第一次反抗期。何を言っても首を振って「いや!」しか言わない。ショッピングモールのおもちゃ売り場に迷い込んでしまったら出られなくなり、目的の買いものすらできずにヘトヘトで帰宅することも。
 この他にも上手くいかないトイレトレーニングや食べ物の好き嫌いの克服…予想以上に次から次へと新しいチャレンジを与えてくれます。

 幼い子どもには、大声で怒っても全く無意味。
 ただ親が体力を無駄に消費し、自己嫌悪に陥るだけでした。
 私自身、何度も失敗して自己嫌悪に陥った経験を踏まえて〈自分の感情を抑えて、まずは子どもの気持ちに寄り添うことが最善策〉と学びました。

 そんな我が子と日々向き合うことで、短気だった私が(少しは)寛容になれたし、いつも時間ギリギリ行動だった私が、時間に余裕を持って行動をするようになりました。
浪費家だった私が、子どものためにお金を大切にするようにもなりました。
そして、何よりも両親に心から感謝できるようになりました。
 たくさんの手間をかけて、
 たくさんの愛情をかけて、
 たくさんのお金をかけて、
 必死に育ててくれたんだなと自分が子育てをする側になってやっと分かりました。
未熟な私は、我が子に出会って本当にたくさんのことを教えてもらいました。

 「誰かと比べるのではなく、自分と家族が満足できる暮らしがあれば良い。」
 そう思えるようになったら、子育て中で思い通りに働けない自分への焦りや、社会から取り残されているような不安もいつの間にか感じなくなりました。

 そしてこの春から、近くの幼稚園で事務として働き始めました。慣れない仕事に悪戦苦闘する毎日ですが、可愛い子どもたちに囲まれた幸せな仕事です。
 《子育てと仕事の両立》という新たなチャレンジに、私なりに楽しく立ち向かっていきたいと思います。

 以上