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                          1972年卒 中津 進

「新しい絆を求めて」

 早いもので高崎経済大学を卒業して、40年の歳月が流れました。生まれた兵庫県の親元を離れて一人暮らしの生活が始まった多感な学生時代には、有形無形のたくさんの出会いがありました。その中には今も続いているもの、今では止めてしまったもの、そして卒業後30年前後して必要性を感じて始まったものがあります。
 人間は一人では弱いものです。今も継続しているものは、やはり師匠・同志・仲間によって啓発されたから続けることが出来たと感謝しています。途中で止めたものは、一時的な思い付きで始めて関心が薄れると遠ざかっていました。卒業後30年前後から自分の将来が見えてくると、仕事以外に特に老後の生活設計、年金問題、職場以外の人間関係に関心が向き始めました。その中の一つに、6年前高崎経済大学創立50周年記念の催しが高崎で開催されました。私の職場には高経大の先輩が一人いましたが、後輩は入社していませんでしたので、寂しい思いがありました。今まで年賀状だけ交換している学生時代の友人に会いたくて、その旧友を誘って参加しました。これが機縁となってその時、東京三扇会の木村会長に挨拶する機会がありました。東京でもOBが定期的に集っているので来て見ないかと声をかけられました。 平成20年、第20回東京三扇会総会に初参加させていただきました。その時驚いたことには、同じ下宿の2年上のF先輩(現在副会長として、大学の教授として活躍中)に38年ぶりにお会いすることが出来ました。また同期のKさんに再会出来たのです。間もなく東京三扇会の仲間に入れて頂きましたお陰で、多くの先輩後輩と知り合うことが出来ました。
 不思議なもので、生まれも育った時代も環境も異なるのに青年時代の一時期を「高崎経済大学」で学んだという一点だけで、多数の同窓生と情報交換させていただき感謝の念でいっぱいです。社会的立場や利害も関係なく語り合える"新しい絆"の温もりを感じています。その根底には、義理と人情に厚い群馬県民の気質といえるかも知れませんが、ひとりの人を大切にするという心が脈打っているのではないかと思います。昨年の東日本大震災以来日本人の価値観が変わりつつあると言われています。職場中心のタテ社会、地域中心のヨコ社会といった従来の人間社会のつながりがほころび始めて久しいと感じているのは私ひとりではないでしょう。時代は新しいつながりや求心力を求めているのではと思っています。そして職域や地域のつながりを止揚した新しい人間の絆を、時代は求めているのではないかと思いつつ・・・その意味で、高崎経済大学のOBの"新しい絆"の拡大に期待しています。
 書は言を尽くさず言は心を尽くさず平成24年5月20日
以上