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『私の1日』 1990年卒 藤本(旧姓斎藤)みゆき
「これ接待費ね」と言って領収書を渡す社長。「うん、わかった」
と言いながら、(何これ、誰と食事に行ったときの領収書なの?)
と密かに思いながら帳簿に記入する私。ここでいう社長とは大会社
の社長とは程遠い、たった1人、大きな体で細かい作業をこなす私
の主人。私はそんな主人の仕事をほんの少し手伝う社員である。
私の1日の行動パターンは、朝起きて朝食の用意をし、主人を
仕事場へ送り出し、掃除、洗濯等の家事を適当に済ませ、9:30頃
主人の仕事場に行く。そして桐生市内のお得意様を何軒か車でまわ
り集配してくる。仕事場に戻り領収証を整理しながら帳簿記入。
11:00過ぎに家に帰り昼食の用意。12:00前に主人が帰ってきて
いっしょに昼食をとり、12:30頃主人は自分の仕事場へ、私はパ
ート先の会社へと家を出る。私は13:00〜17:00までパートで働
いている。仕事は好きではないが、他の従業員の人たちといろい
ろ話ができるのを楽しみに通っている。17:00でパートが終わっ
た後、いつも午後行くことになっているお得意様のところへもう
一仕事。集配が終わりスーパーに買い物へ。お刺身やお惣菜を買
う時は半額になる19:00すぎを狙って行く。が、たまに安くなっ
ていない時がある。その時は狙ったものをキープしておいて、ス
ーパーの中をぐるぐる歩きながら時間をつぶし、白い作業着のお
兄さんが現れたのを横目で確認し、近づいて行って半額シールを
貼ってもらう。主婦は大変である。家に帰り夕食の準備をし、主
人が帰ってくるのを待つ。これが通常の1日である。
これがたまに前橋のお得意様から「仕事が出ているので取りに
来てください。」と電話があり、パート先の私の休みである水曜
日に、車で片道1時間のところを1人でドライブ。ラジオのボリ
ュームを大きくし流れてくる歌をいっしょになって大声で歌い、
今流行っている歌を必死になって覚えていると、対向車のパッシ
ングが見え慌てて車のスピードを落としゴールド免許らしい運転
に戻る。お得意様の会社を後にし帰路に着くが、たまにはこんな
に働いている自分へのご褒美とデパートに行き高い化粧品コーナ
ーをぶらぶらするが、結局何も買わずにデパートを出る。こんな
貧乏性の自分が時々イヤになる。
こんな平凡な毎日が、今年に入りおかしくなってしまった。体
調を崩し主人の仕事を全く手伝うことができず、パート先も休み
がちになってしまい、みんなにかなり迷惑をかけてしまった。主
人は仕事が忙しいにもかかわらず家の事も積極的にやってくれて、
大変感謝している。毎日同じ生活に少し飽きを感じていたが、そ
んな生活ができるのは幸せな証拠なのだとつくづく感じ、早く体
調を回復しいつもの1日に戻れるよう頑張らなくっちゃと気合い
を入れなおす私なのである。
次回は高久完治さんにお願いしたいと思います。