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やっぱり天然もの
                         1988年卒 加藤紳明

我が家にカブトムシ(♂)がやってきた。

2歳になる息子のお友達が親戚などから一度に6匹も貰ったため、
持て余したらしく一匹どう?というので、生き物を飼うのは息子
にとっては初めてのことでもあり、いい機会かなと思い引き取っ
たのです。
もらってきたカブトムシは予想どおり養殖されていた
ようで、私が子供の頃、自宅近くの山で獲ってきていた天然のも
のよりも随分と小さかった。

 初めてのカブトムシに喜ぶ顔が見たいと思って家に帰ってみると、
ご存知のとおりカブトムシは夜行性で息子の起きている時間はほぼ
じっとしているか、土の中に潜っており、それがちょっと気に入ら
ないようでした。
  思うに今の都会に住む子供たちのうち、どれくらいの子がデパー
ト等で売られている虫ではなく、天然のカブトムシやクワガタを獲
った経験を持っているのだろうか?もちろん首都圏では無理に近い
とは思うのですが・・・。
 
私の故郷でも宅地開発などで子供のころ獲っていた、何箇所もの
捕獲ポイントが消滅しており、田舎へ帰省した時に子供へ獲ってあ
げられ無くなるのではと心配している今日この頃です。
  近年、海外に生息するカブトムシなどの輸入が解禁になったそう
なのですが、早くもそれらの海外産と日本の在来種との混血が関東
近郊の森から採取されたそうで、新聞に書いてありました。
DNA
定で確認されたそうで、飼っていたものが逃げ出したか、飼い主が
放出し在来種と交配したと考えられているそうです。
 天然物にこだわる私としては、なんとも寂しく将来が心配になって
しまう話です。

夏で天然物といえばカブトムシと並んでうなぎが気になるのですが、
養殖物ですら昨今話題になったとおりで、うなぎももはや天然物を一
般の店頭で入手するのは不可能な状況です。 子供のころは自宅近く
の池や川で獲れていたため、無いものねだりは十分承知の上ですが首
都圏に住んでいても、やっぱり天然物にこだわりたいのです。


 食卓に出されたうな丼を見ると、私はつい「これは天然ものか。」と
妻に問い、妻は「そんな訳無いでしょう。」と私に返すのが、我が家の
習慣となってしまった。

 やっぱり夏は天然もののカブトムシと、うなぎが一番である。

次の9月は95年卒の清水 則行君にお願いします。